9歳ごろの竹中さん。林間学校で(画像=本人提供)

 言葉への強い知的好奇心を感じさせるエピソードだが、とはいえ、受験勉強がはじまる前はマンガも愛読していた。そのため、周囲の友だちと比べて変わっている自覚は一切なかった。

「自分にギフテッド的な傾向があるか、子どものころは自分では全然わからなかったんですよね。辞書は好きで読んでいただけで、勉強だとも思ってませんでしたから」

 ただ、子ども時代を振り返ってみると、ギフテッドらしい面もある。例えば、「想像性OE」はその1つだ。

 ギフテッドに広く共通して見られる特性として、過度激動(Overexcitabilities、以下OE)と呼ばれるものがある。神経の感受性が増すことによって、通常よりも刺激を生理的に強く経験する性質を指し、「想像性OE」はその1つの特性だ。

 想像力の強さは一般的に称賛されやすい資質ではあるものの、幼い子どもにとっては大変な面もある。竹中さんはこの「想像性OE」が強く、実際には起きないことを想像して、恐怖にさいなまれることが多かったようだ。

「例えば、火山の噴火の映像をテレビで見ると、その日の夜は『もし、近所にある比叡山が爆発したらどうなるのかな?』と頭の中でシミュレートしていましたね。『もし噴火したら、鴨川は防波堤になるのかな?』『マグマを遮断するのは、さすがに無理かもしれない……』と真剣に考えて、眠れなくなっていたんです。今なら調べれば比叡山は火山ではないことがわかりますが、当時は家にはパソコンもなくて……不安になって、泣いたりしては、何とか折り合いをつけている状況でした」

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「他の家のお父さんよりも早く死んでしまうんじゃないか」