「先発として成長してきてますし、先発らしくなってきました。毎試合のようにゲームをつくって、結果も出てますしね」と小澤を評するのは、石井弘寿投手コーチ。現役時代からヤクルト一筋の石井コーチは、小澤の持つハングリー精神に着目する。

ソフトバンクでね、三軍まであって育成(選手)も50人以上いる中で揉まれてきたっていうのは、やっぱりすごい経験ですよね。そこで1回リリース(解雇)されてウチに来て、こうやって這い上がってきてますから。そういうところを見ると、闘争心とかハングリー精神はすごく強いなと感じます。ウチの(二軍の)若い子たちもみんながんばってますけど、彼を見てもうひとがんばり、ふたがんばりしないと、あれぐらいにならないと一軍には上がれないんだっていうのを感じてくれたらいいですけどね」

 今シーズンの小澤は、5月まではリリーフとして14試合に登板して0勝1敗2ホールド、防御率3.04。6月以降は先発で14試合に投げて6勝3敗、防御率3.05で、半数の7試合がクオリティースタート。8失点した8月15日のDeNA戦(神宮)を除けばすべて自責点3以下、5回を持たずにマウンドを降りたのも1試合だけと、高い確率で試合をつくっている。

 先発としてこれだけの実績を残せば、来シーズンもローテーションの一角として期待されるところだが、小澤が目指すのはどんな役割であろうとも、シーズンを通して一軍の戦力になることだ。

「そうですね。(先発もリリーフも)どっちもやれるっていうのが自分の強みかなと思うんで、言われればどっちでもって感じですね。先発でもリリーフでも、毎年キャリアハイを更新し続けるようにやっていければいいかなと思います」

 一方、「打」では高卒3年目の捕手、内山壮真(21歳)が今年は外野手としても起用されるなど、これまで以上に出場機会を増やしている。ルーキーイヤーの2021年は6試合、2年目の2022年は74試合、そして今季はここまで89試合に出場。安打、本塁打、打点、盗塁など、打撃部門の多くで自己ベストを記録している。

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