作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。今回は大宮さんが出雲充さんをゲストに迎えたきっかけ、そしてインタビューを振り返ります。
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ユーグレナのことは一ツ星レストランのシェフから聞いて知っていた。コラボで、ユーグレナたっぷりのお弁当をプロデュースしたから食べてと言われていただいた。おいしかった。スタッフにも、と購入したりした。それで知ったのだった、ユーグレナという名前を。
ん、ユーグレナってなんだ? 以来、気になっていた。なんとなく新しい未来な感じ。
それで対談に出雲充さんにご登場いただいた。緑のネクタイでいままでの経緯やこれからの展望を流暢(りゅうちょう)に話される。実に話が上手。
研究者でありながら、起業家。会社がまたびっくり。健康食品のそれじゃない。おしゃれな内装、そして意欲がありそうなたくさんの人。
出雲さんを丁寧にケアする、魔法瓶をそっと渡す有能な広報。出雲さんは人を束ね、人を動かすことができる。それでいて研究者。つまり、何が言いたいかと言うと、出雲さんこそ、ユーグレナなのだ。
ユーグレナ、和名ミドリムシは、小学校で習ったと思うが、植物性と動物性の両性をもつスーパー微生物。
研究者って、人間的にそんなに人とうまくやれるひとが少なかったり、投資家の方と渡り合って響きあったりという人も少ないはず。私も東大では理系で研究室に(少しだけれど)身を置いてなんとなくの雰囲気は知っているつもりだ。ひとつの研究を商品化にこぎつけるのは並大抵のことではない。努力のほかに、運やら人柄やら人脈やら行動力、いろいろなものが必要だなと感じた。出雲さんは、それらが全部あったんだろう。
どうしてこんな体にいいスーパーフードならぬスーパー微生物を総合栄養食に活(い)かさないの? 活かしたらもっと世界が良くなるよ! これすごいことになるよ!と本気で思って行動されて、いまもまだその熱意が燃えたぎっている。熱意の他に、強い信念と自分を信じる力を維持するのも才能と力のいることだ。大学時代にバングラデシュに行ったことで、栄養失調に苦しむ人々を、子どもたちを救いたいと思ったとおっしゃっていてその熱量とモチベーションが20年以上たって衰えていない。いや、むしろ拍車がかかっている。貧困を救うだけではなく宇宙食、バイオ燃料にも採用されるんだから。