大宮エリーさん(左)と出雲充さん(撮影/写真映像部・東川哲也)
大宮エリーさん(左)と出雲充さん(撮影/写真映像部・東川哲也)

 ユーグレナは太古の時代からいたわけで、光合成もするからこの地球を酸素多き星にしてくれた。それ自体すごいんだけれど、手がけたことよりも、実は出雲さんという人間の熱量の高さ、バイタリティーの高さに、圧倒された。

 私は、流されるタイプで、これをやろう!と自分で見つけて自発的にやるタイプではない。人からやったら? やってよ、とむちゃ振りされて生きてきた。だから出雲さんの熱量の動力源が知りたい。どうすればあんな自家発電できるのか。あんなふうにはなれないから、せめてユーグレナを飲むしかないのか。

 微生物と宇宙だなんて、ロマンがある。そして微生物が食糧危機や、燃料問題を解決するならば、微生物が平和をもたらすのだろう。微生物と平和。人間は愚かで奪い合うから、そして自分さえ良ければいいと思うあさましい存在だから。

 いま地球上で起こっている深刻な問題を自分たちで解決できず、太古からの先住民である微生物にお世話になるとは。みなの地球を我がもの顔で破壊しているというのに。本当に人間は、どうしようもない。でもそれを踏まえての出雲さんの挑戦なんだと思った。

大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。クリエイティブのオンライン学校「エリー学園」「こどもエリー学園」を主宰。瀬戸内国際芸術祭(岡山県・犬島)で「光と内省のフラワーベンチ」を展示

出雲充(いずも・みつる)/1980年、広島県出身。2002年に東京大学農学部卒業、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。05年、ユーグレナを立ち上げ、代表取締役社長に。同年、世界初の微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に成功。著書に『僕はミドリムシで世界を救うことに決めた。』など

AERA 2023年3月27日号

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