3人の親のホーム探しを通して痛感したのは、「自分の老後のことは、自分でちゃんと準備しなくちゃいけない」ということでした。
「私の父もツレの両親も、『老後のことはちゃんと考えている』って言っていたんです。でもそれは遺言状やお墓の準備で、全部死んだあとのこと。自分が弱って一人で暮らせなくなったときのことは考えてなくて、私たちが『どうするの?』と聞いても『まだ大丈夫』って。でも、大丈夫じゃなくなってから考えても遅いんです。死んだ後のことよりも、弱った後のことを考えて、その準備をしてほしかった」
貂々さんはいま53歳。自分の老後のことは考えているのでしょうか。
「考えていますよ! 私の場合、一人になったら速攻でホームに入るつもりです。私は料理が苦手なので、栄養管理は施設でしてもらいます。だから今はがんばって貯蓄しているんです(笑)」
子どもに迷惑をかけたくない、と思う人は多い。しかしそれを実現するのは難しいのも現実です。
「迷惑をかけないってことは、『まだまだ元気だ』とがんばりつづけることじゃない。衰えを認めて、できないことは頼りつつ、子どもの今ある生活を乱さないような準備をしていくということ。高齢者ホームを自分で選ぶことって、そういう意味でとても大切です」
(取材・文/神 素子)
※週刊朝日ムック『高齢者ホーム2024』より