野井教授は、「現代人はスクリーンの面白さに負け、スクリーンに使われてしまっている。さらに、スクリーンタイムに変わる経験ができる機会を提供しきれていない」と語る。

「ある時、小学生たちに鬼ごっこを教えたところ、その楽しさに『鬼ごっこを考えた人は天才だ!』という予想外の発言が上がりました。私たちは動いてはじめてヒトという動物になり、群れてはじめて人間になる。大人がスクリーンに負けたと思い込んでいただけで、当たり前に知っている伝承遊びなどを伝えきれていなくて、その結果、子どもたちをスクリーンに向かわせていたのかもしれない」

 現在、野井教授と城所准教授は、メンタルヘルスに好影響を与えるとされる自然との触れ合い、いわゆるグリーンタイムの有用性の研究を進めている。

 小学生・中学生の子どもを持つ家庭には、スクリーンのメリット・デメリットをきちんと伝えたうえで、子どもと一緒に使い方や使う時間のルールを考えて作るといいと助言する。

「なかには、SNSに救われている子どももいるでしょうし、スクリーンから無理やり引き離すのは得策ではありません。そのため、親御さんには、子どもと一緒にスクリーンとの向き合い方を考えて実行することを推奨します。ポイントは、サポートに徹するのではなく、実際に自分も子どもと一緒にやってみること。お子さんをスクリーンに使われるのではなく、スクリーンを使いこなせる人間になれるよう、導いてあげてください」(野井教授)

(文/安倍季実子)

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