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 厚生労働省によると、2022年の小中高生の自殺者は514人にのぼり、統計がある1980年以降で過去最多となった。これを受けて、今年6月には政府がオンラインによる「心の健康診断」を全国で導入する方針を固めたばかり。また、アメリカ公衆衛生局長官が「1日に3時間以上SNSを利用する子どもは、心の病のリスクが倍増する」と注意喚起するなど、子どもの自殺対策はいまや世界共通の問題だ。国内で、子どものからだと心に関する研究を続ける大学教授に、SNSが子どものメンタルに与える悪影響と対処法をうかがった。

【図版】3万人調査の結果 中学生女子はSNSとオンラインゲームを2時間以上は悪影響

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 これまで、テレビやゲーム、SNSなどの画面閲覧時間(スクリーンタイム)は子どものうつ病発症リスクに大きく関係すると見られてきた。だが、実はデバイスごとの検証は不十分で、全てのスクリーンタイムが子どもに悪影響を与えるとは限らない。

 日本体育大学体育学部の野井真吾教授と、同学部の城所哲宏准教授らの研究チームはこの関係性を明らかにするため、東京都世田谷区の公立小中学校の8~15歳にあたる3万4643人にアンケート調査を実施。小学校・中学校の男女別に、利用するスクリーンの種類、使用時間を調べ、メンタルヘルスにどんな影響を与えているのかをまとめた。

日本体育大学体育学部の野井真吾教授

 そして2022年に「Different Types of Screen Behavior and Depression in Children and Adolescents」という研究論文を発表。使用する電子メディアによってメンタルヘルスに及ぼす影響は異なり、特に2時間以上の動画視聴およびSNSの使用が、うつ病のリスクを高める可能性が示された。

日本体育大学体育学部の城所哲宏准教授

 城所准教授によると、これには(1)スクリーンタイムの増加に反比例して運動や睡眠の時間が減り、結果的にメンタルヘルスに悪影響を及ぼす「置き換え理論」、(2)特に他人のSNSの投稿を見て劣等感を抱き、メンタルヘルスがマイナスに傾く「社会的比較理論」という二つの理由が考えられる。

 一方で、テレビの視聴はメンタルヘルスにいい影響を与えるという予想外な結果も生まれた。

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予想外の結果「テレビの視聴はメンタルヘルスに好影響」