内戦が終わり、平和になったエルサルバドル。市場で働く子どもの姿は減りました=2001年、エルサルバドル(撮影/長倉洋海)

 市場で働く子どもたちは客に野菜や果物を売っては母親のところに戻って売り上げたお金を渡し、また次の商品を手にすると元気に駆け出していくのです。

 紛争地帯や辺境の地でも「ぼくならつらくてめげてしまうだろうな」と思ってしまうようなシーンがたくさんありました。でも、ぼくが出会った子もたちは下を向いてメソメソするんじゃなく、「負けないぞ」というように踏ん張っていました。そんな姿に、ぼくはたくさんのシャッターを切ってきたのです。

 つらいことや悲しいことは、私たちにもあるはずです。でも、何とか乗り越えようとする。その姿が「とても素敵で美しいんだ」とも思うようになりました。

「人は人と出会って過去の自分も今の自分も見えてくるんだ」と思うようにもなりました。写真界のトップに立って「世界のナガクラ」と評価されることを夢見ていましたが、今は「長倉洋海にしか撮れない写真」を目指しています。

(取材・構成/生活・文化編集部 金城珠代)