陽川と同様に、チーム事情を考えるとチャンスは多くありそうに感じるものの、なかなかそれを生かせていないのが成田翔(ロッテ→ヤクルト)だ。チームは一軍も二軍も投手不足に悩んでおり、成田も二軍では30試合に登板しているが防御率は5点台に沈んでいる。他にも結果を残せていない投手が多いため成田だけの問題とも言えないが、何かを変えなければならないことは確かだろう。
一方で“飼い殺しを防ぐ”という現役ドラフトのコンセプトがありながらも、移籍先のチームでもなかなかチャンスに恵まれない選手も存在している。そんな印象を受けるのが古川侑利(日本ハム→ソフトバンク)と正随優弥(広島→楽天)の2人だ。
古川は昨年キャリア最多となる34試合に登板するなど中継ぎとして存在感を示したが、移籍したソフトバンクでは一軍に長く登録されながらわずか9試合の登板にとどまっている。二軍では26試合に登板して防御率1点台と安定したピッチングを見せているだけに、ソフトバンク以外の球団であればもっと力を発揮できるのではと感じている関係者も多いはずだ。むしろ移籍がマイナスに働いた例とも言えるだろう。
正随も二軍ではチーム2位タイの6本塁打を放ち、OPSも8割を超えるなど持ち味を発揮しているが、一軍ではわずか1試合の出場にとどまっている。一軍のメンバーを見ても主砲の浅村栄斗と外国人選手のフランコ以外はパンチ力のある右打者は少ないだけに、もう少しチャンスを与えても良いのではないだろうか。こちらも移籍した先の球団に恵まれなかったと言われても仕方ないだろう。
最後に挙げた2人のように移籍がマイナスに働いてしまっているように見える選手はいるものの、トータルで見ればやはりチャンスを生かしている選手が目立つのは確かである。このオフの現役ドラフトも、埋もれていた才能が開花するきっかけとなることを期待したい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。