
昨年オフに史上初めて行われた現役ドラフト。12人の選手が他球団に移籍し、先発投手陣の柱となった大竹耕太郎(ソフトバンク→阪神)、チームの日本人選手として13年ぶりとなる20本塁打を放った細川成也(DeNA→中日)の2人が出世頭となっている。またそれ以外にもオコエ瑠偉(楽天→巨人)、戸根千明(巨人→広島)が一軍で貴重な戦力となり、移籍した本人にとってもチームにとってもプラスは大きい印象だ。
ただその一方でここまで存在感を示すことができていない選手がいることも確かだ。まず一軍でもそれなりに実績があり、期待が大きかったにもかかわらず苦しい状況が続いているのが笠原祥太郎(中日→DeNA)と陽川尚将(阪神→西武)の2人だ。
笠原はプロ入り2年目の2018年には完封勝利を含む6勝をマーク。その後は不整脈の症状が出るなど苦しんでいたものの、昨年は先発でも勝利を挙げるなど復調をアピールしていた。DeNAでも先発の一角として期待されていたものの、ここまで2試合に登板して0勝2敗と一軍では全く成績を残すことができていない。
二軍では4勝をマークして防御率も2点台とまずまずの数字を残しているのは救いだが、入団当時に比べるとストレートの勢いが落ちているように見えるのが気がかりである。エースの今永昇太がオフにメジャー移籍の噂があり、バウアーの去就も不透明なため、まだチャンスはあると思われるだけに、何とか今シーズン中に一軍で復調の兆しを見せたいところだ。
一方の陽川も2018年には6本塁打、2020年には8本塁打を放ち、二軍では毎年のようにある程度の成績をおさめていただけに、移籍をきっかけに一気に一軍定着という声もあったが、ここまでわずか7試合の出場で3安打と寂しい数字となっている。二軍では相変わらずチームで上位の成績を残しているものの、一軍ではとにかく三振が多く、なかなかバットにも当たらないというのが現状だ。
チームは主砲の山川穂高が自身の不祥事で無期限出場停止となっているにもかかわらず、なかなか一軍から呼ばれないというのも弱点がはっきりしているからと言えそうだ。今年で32歳と年齢的にもベテランに差し掛かっているだけに、来季も現役を続けるためには残りのシーズンで何とか存在感を示す必要があるだろう。