さらに当時は、「つき合ったら結婚するのが当然だ」とみなされていました。初めてつき合った一人目の相手と結婚する人が大部分でした。しばらくつき合ったあとに「嫌だから別れる」というのは、ほとんど許されなかったのです。
親の反対があったというような事情があれば別ですが、普通につき合って何もないのに別れるというのは、親族や友だち、先ほど挙げたような集団から「ひどいやつだ」と思われたし、「けしからん」と言われました。つまり、仲間からのサンクションがあったわけです。
このような「世間体」という心理的な圧力も、皆婚社会の成立に大きく影響しているでしょう。
「告白文化」の弊害
高度成長期に、ここで述べた大量の自然な出会いによって、日本の恋愛に特徴的な「告白文化」が生まれました。
私は以前から、知り合った相手に「つき合ってください」「わかりました、つき合います」といった、告白をしなければ恋愛関係に発展しない告白文化が、今日の若者たちの恋愛の活発化を妨げている要因の一つではないか、と主張しています。