もちろん、学校での出会いというのもあります。団塊の世代は3割の人が中卒で、高卒5割、大卒2割という割合です。戦後は、中学以降で男女共学になったので、そこで知り合った男女がつき合うというケースもありました。
つまり、学校で知り合えなくても、自営業や地方の男女は、地域の青年団なり業界の組合なりで知り合い、会社に入った男女は社内で知り合います。直接知り合えなかった男女は、地域や会社のネットワークを使って、紹介されて知り合うわけです。
今日のように、フリーターのような組織に属さない若者はほとんどいなかったので、当時のほうが知り合う機会に恵まれていたとも言えるでしょう。
要するに、高度成長期には「出会い」が十分にあったので、皆婚社会が成立したというわけです。
団塊の世代くらいまでは、ほとんどの人が結婚できました。1970年代くらいまではそうなのですが、結婚後の生活を想像できるということも大きかったでしょう。
学校で知り合うとか近所の青年団で知り合う人たちは、お互いにすでに知っている間柄です。つまり、自然な出会いの中で知り合った同士は、お互いの家族的背景まで知っていて、結婚したら暮らしがどうなるかということをお互いに想像しやすいわけです。職場では、相手の働きぶりがわかり、男性なら将来の収入まで予測できるのです。つき合ってから「こんな人とは思わなかった」といったトラブルも、少なくとも経済生活においてはあまりない。そういう意味でも、別れずにそのまま結婚することができたというわけです。