ミッツ・マングローブ
この記事の写真をすべて見る

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの連載「今週のお務め」。11回目のテーマは、夏の甲子園で優勝した「慶応高校」について。

*   *    *

 慶応高校(神奈川県代表)が夏の甲子園を制しました。前回大会の覇者である仙台育英学園高校(宮城県代表)を破っての優勝です。慶応にとって仙台育英は、今年の春大会の初戦で敗れた相手でもあります。

明らかに慶応がもっとも意識した難敵であったことは間違いないでしょう。それが103年ぶりの決勝戦で待ち構えていたわけです。盛り上がらないはずがありません。
 

 年明けから「今年は強いらしい」との期待が飛び交っていたとは言え、決して見慣れた光景ではなかった「慶応が甲子園で勝ち進んでいく様」を実際に目の当たりにすることで、ただでさえ帰属意識の高い慶応出身者たちの熱量が、日を追うごとに凄まじい勢いで強まっていったのも事実です。

 慶応特有とも言えるこの連帯感は、時に当事者すら戸惑わせるものですが、今回ばかりは捻くれ者の私も、最後はただの「愛塾心の塊」と化していました。暑さにさえ屈しなければ、仕事の合間を縫って甲子園まで足を運んでいたでしょう。

次のページ