マンションよりも戸建ては、災害時の備えるための設備を導入しやすい。エコハウスにすれば、災害時はもちろん普段の生活でもメリットがある。AERA 2023年8月28日号より。
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戸建て住宅なら、もっと柔軟に災害に対応できる。
東京都大田区に2020年10月に完成した1級建築士・濱地典さんの家は、災害にも強いエコハウスだ。母屋に5.85kWの太陽光発電パネルと蓄電池、4重ガラス入り木製サッシなどを用いて、断熱性能を上げている。離れのデッキに流し台、バーベキューコンロなどを備え付け、災害時には近所の人たちの支援拠点にもする計画だ。
「脱炭素のために高い断熱性能を持たせた住宅ならば、小電力でエアコンが使える。太陽光エネルギーで自立できるようにすれば、大災害後でも住み続けられる。普段は電気代も安くなり、良いことずくめです」
共同で設計した中村勉総合計画事務所の中村勉代表はこう説明する。
中村さんが設計して長野県茅野市に2021年に完成した「金山デッキ」は、小林光・東京大学先端科学技術研究センター研究顧問のセカンドハウスだ。高い断熱性能に加え、8.8kWもある大容量の太陽光発電パネルや23kWhの蓄電池を備え、近所の4軒に電力を供給できるほどの能力を持つ。災害警報が出たら停電に備え蓄電量を増やすなどの制御を、AIがしてくれる。
小林さんは、2000年に都内に建てた自宅でも太陽光を導入していたが、そのころに比べると導入コストは格段に下がっているという。
「数軒といった小さな単位で融通しあってエネルギーを自給できるようにすると災害にも強くなる。電気自動車から電力を供給する仕組みも期待できます」と言う。(ジャーナリスト・添田孝史)
※AERA 2023年8月28日号より抜粋