伊藤詩織さん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

――海外でも、イベントの際の痴漢行為というのは耳にしますか?

 観客がほかの観客から被害に遭うことはありますが、対策を徹底している主催者は少なからずいます。ベルリンはクラブシーンが活発なのですが、あるクラブでは、入り口のドアの前で、性的同意の意識についての質問項目が書かれた紙を渡されます。「了承なく相手の体に触ってもよい?」「アイコンタクトがあれば性的同意が取れたことになる?」というような質問が10個ほど並んでいて、一つでも間違ったら中に入れません。

 そのクラブはカルチャー上、ボンデージのようなコスチュームを身につけた人や、男女問わず上半身裸の人もいるんですけど、そこに踊りに行く友人たちからは、一方的な性加害を受けたという話は聞いたことがありません。

――8月21日、DJ SODAさんへの性加害の“犯人”を名乗る男性2人が、実業家の「青汁王子」こと三崎優太氏のYouTubeチャンネルに出演し、謝罪しました。

 謝罪したことは意味があると思うけれど、この動画を見てすごく気になったのが、「なぜこれが悪いことだったのか」への言及がなかったことです。他人のプライベートパーツに触ることへの認識が間違っていたと反省していない。その代わりに、司会の男性(※三崎氏)は、世間を騒がせたことを謝るよう2人に促していました。でも、謝る相手は被害者であって、世間ではないですよね? 日本だと、世間への謝罪は一般的なのかもしれませんが、こんな筋ちがいな言葉をフォーマット化しないでほしいです。

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