「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」は、部活動中の熱中症の発症は約85%と、部活動以外に対して、圧倒的多数を占めることを明らかにしている。
ところが、このような状況は長年見過ごされてきたと、内田教授は嘆く。
「授業ではしっかりとされている熱中症対策が部活動ではなされていない。その不備を子どもたちが体で引き受けている。その現状に心底腹が立つんですよ」
その背景にあるのが夏に開催される大きな大会だ。
「大会に向けて、どうしても練習をしたい先生や生徒がいる。それがどんなに危険な行為であっても、『部活動をやりたい』という気持ちが勝ってしまう」
その結果、毎年のように熱中症による死亡事故が起きる。それを防ぐのに必要なのは、命にかかわる危険な暑さであれば例外なく部活動を中止する、三重県教委のような毅然(きぜん)とした姿勢だろう。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)