インターハイのような全国大会については県教委の管轄外だが、そこでも根本的な熱中症対策が始まっている。

 これまでインターハイは全国各地で輪番開催されてきたが、男子サッカーについては来年から暑さ指数が低く、熱中症のリスクが抑えられる福島県のJヴィレッジ(楢葉町)で固定開催されることが決まった。

 そこには日本サッカー協会(JFA)が粘り強く全国高等学校体育連盟(高体連)や福島県に働きかけてきた背景がある。

 ただ、三重県教委やJFAのように本気で部活動の熱中症対策を行っている組織や団体はまだ少ない。

不備を子どもが体で

 なぜ、部活動における熱中症対策はおろそかになりがちなのか。2年前、環境省と文科省が学校に特化した熱中症対策の指針を設けた際、名古屋大学大学院の内田良教授はこう語った。

「体育の授業ではかなり徹底した安全管理がなされています。ところが、部活動になったとたんに、試合に出ることや勝つことが優先され、安全管理が後回しになっている現実がある」

 日本スポーツ振興センターによると、21年度に学校で起きた熱中症の総数は2595件。小学校は264件だが、部活動が始まる中学生になると急に増え、中学校は996件、高校は1289件。ただ、この数字は医療費が給付された疾病の件数なので、熱中症にかかった児童生徒の実数はこれよりもはるかに多いと思われる。

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熱中症は「部活中」が85%