学校での熱中症は8割以上が「部活」で起こっている。写真はイメージ(GettyImages)

 この夏、連日全国各地に熱中症警戒アラートが発表された。しかし、「命に関わる危険な暑さ」であるにもかかわらず、学校の運動部の活動は止まらない。そのような状況のなか、三重県教育委員会は「暑さ指数(WBGT)が31度以上の場合『運動を中止する』」という、従来より大きく踏み込んだ熱中症対策を学校現場に求めた。画期的な通知を出した背景と、その後を取材した。

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「従来、暑さ指数31度以上のときは『運動は原則中止』としていたんですが、要は、『原則』という文字を外した、いうことです」

 三重県教育委員会保健体育課の堀越英範課長はこう語る。

 しかし、これはかなりすごいことである。筆者はこう尋ねた。

「8月はインターハイ(全国高等学校総合体育大会)のシーズンで、大会に出場する選手のみなさんはギリギリまで練習するのがふつうですが、三重県の場合、暑さ指数31度以上であれば、例外なく練習を中止する、ということですか?」

 すると、「そうなんです」とこともなげに答えた。

 今回の通知が出されたのは8月4日。その後も学校現場で通知は冷静に受け止められ、特に混乱は起きていないという。

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「試合があれば部活OK」という“逃げ道”