そのリポートの中で私が最も重要だと考えるのは、日本が在日米軍基地を米軍に使用させることが前提になっているということだ。それがなければ、戦争にならないという位置付けである。
つまり、日本が基地を使わせないと言えば、米国は戦争を避けるしかなくなる。非常に簡単な戦争回避法があるのだ。
だが、それはできないという人が圧倒的に多い。なぜなら、米国が怒るからだという。それは日米同盟を破壊することにつながり、日本の平和が守れなくなるから基地使用は認めるべきだという。しかし、この議論は本質的におかしい。
日本国民の命を守るための日米同盟だったのに、「日米同盟を守るためには日本人が戦争で命を捨てなければならない」というとんでもないパラドックスに陥っているからだ。
そして、最後に、私が指摘したいのは、「日本が平和主義を捨てつつある」ことだ。
それは、安倍晋三政権以降の政府とマスコミの宣伝で日本人の多くが洗脳されてしまったということを意味する。
実は、海外の人の方がこの事実に気づいている。
この春着任した呉江浩・駐日中国大使は15年ぶりの在日本大使館勤務となるが、「日本には外敵がいるから防衛費を増やすのは当然だ」ということを「一般人が普通に」口にする姿を日本のテレビが流していて心底驚いたという話を聞いた。15年前には考えられなかったことだという。