古賀茂明氏

 8月になると、戦争に関する報道が増える。今年は特に中国の脅威や台湾有事についての議論をよく目にした。

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 そこで、台湾有事についての私とある中国人有識者(A氏)との会話を紹介したい。

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古賀:習近平氏は、遅くとも2027年までに台湾を統合したいというが本当か。

A氏:(笑いながら)あり得ないでしょ。なんで27年まで? どうして武力行使? そんなことしたら、台湾住民との関係は最悪になり、その後の統治が非常に難しくなる。台湾で戦争を起こせば、インフラや産業も壊滅する。そんな台湾を統合しても意味はない。中国にとって、最悪のシナリオですよ。

 27年武力統合説は、米軍関係者が流したとんでもないデマです。米政府もわかっている。

 ただ、日本の米国依存度を高めるのに有効で、しかも米国の武器も売れるから、そのまま放置しているのでしょう。

古賀:でも中国は武力行使も辞さずと言っている。矛盾では?

A氏:米国や日本が台湾の独立を支援して武力闘争が始まるような場合でも中国は静かに見守りますと言ったらどうなりますか。そういう場合には、武力行使するぞと脅しておかないと危ないでしょう。

 日米が台湾の独立に反対する従来の立場を堅持すれば、台湾単独で独立闘争を始めることはあり得ません。中国が武力行使することもあり得ません。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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