台湾を訪問中、フォーラムで講演する自民党の麻生太郎・副総裁=2023年8月8日

 ここから先は、日本人が自分たちで気づくべきことを挙げていこう。

 まず、日本は台湾を守る義務など負っていないということだ。台湾の人たちが良き友人であることと彼らのために日本人が血を流すべきだという二つの話は全く別次元の問題だが、それが連続線上の話として扱われている。二つの話は決して混同してはならない。

 先日の麻生太郎・自民党副総裁の「戦う覚悟」発言は、その意味で全く間違ったメッセージを発していることになる。万死に値すると言って良い。

 ちなみに、台湾は尖閣諸島の領有権を主張している。独立後の台湾は中国同様、難しい隣人になるかもしれない。そんなことも無視して、台湾のために命を捨てよという自民党にはこの国を率いる資格などない。

 一方、台湾有事から逃げるべきだという議論をする勇気のある政党がほとんどないことも大問題だ。「台湾を見捨てるのか!」と炎上するのを恐れて、立憲民主党でさえこの議論を避けている。

 さらに、日本人が気づくべき、より本質的な問題が、日米安保条約の変質である。

 今年の初め、米国のシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)のシミュレーションが大きく取り上げられた。26年に中国軍が台湾への上陸作戦を実行するという想定で、主要なシナリオでは、日米が多大な犠牲を強いられるものの中国に勝利できるという結論だった。

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