5年ぶりに巨人に復帰した長野久義
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 昨オフに巨人が獲得した2人のベテラン、長野久義と松田宣浩はチームは何をもたらしたのか……。なかなか調子の上がってこないチームのクライマックス・シリーズ(CS)進出へ向け、成績を超越した影響力に大きな期待がかかる。

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 セ・リーグの優勝争いの行方は8月16日に「マジックナンバー29」が点灯した阪神が本命となっている。残りの球団はCS進出、勝ち上がっての日本シリーズ制覇へ向けて舵を切りつつある。

「(巨人は)Aクラス入りが難しいヤクルト中日に足元をすくわれないようにすることが大事。そのためにも気持ちの持ち方が重要で負けても切り替えを早くする。そのためにも長野、松田のような経験豊富なベテランの存在が大事になる時が来るはず」(巨人OB)

 ベテラン2人のうち、グラウンド上でも存在感を示しているのが長野だ。オフに広島から古巣・巨人へ5年ぶりに復帰した38歳のベテランは開幕一軍入りするも調子が上がらず、5月29日に登録抹消された。しかし約1カ月の調整期間後はスタメン出場するなど、一軍で元気な姿を見せている。

「全盛期とはもちろん違いはあるが、要所で素晴らしい働きを見せてくれる。勝負どころでの集中力の高さは、百戦錬磨、修羅場をくぐってきた強みを感じる。若手が増えてきたチーム内で、ここから先の重要な場面では有形無形の力を発揮してくれるはず」(巨人関係者)

 長野本人が「僕はピチピチですよ」と胸を張るプレー面のみでなく、コミュニケーション能力の高さも強み。1年目の外国人ブリンソンは通訳がいない時などは英語が上手い長野を頼っていることを明かしている。グラウンド内外で大きな戦力になっており、「CS進出のキーマン」と言う人もいるほどだ。

 一方の松田は開幕一軍入りしたが、わずか8試合出場後の4月14日に登録抹消、その後は二軍生活が続いている。二軍では継続的に試合に出場しているが、46試合の出場で打率.227(119打数27安打)、2本塁打、18打点と目立った成績を残せていない。「今のままでは一軍再昇格の可能性は限りなく低い」と言われているが、長野と同じくグラウンド外での存在感は抜群だ。

「巨人は若手の台頭が進み、加えて右打者は飽和状態。飛び抜けた成績を残さないと一軍に呼ばれることはない。肉体、技術の両方での衰えもあり本人は自覚しているはず。しかし手を抜かずに練習と試合に挑む姿勢は、若手選手に好影響を与えている」(巨人担当記者)

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