全国戦没者追悼式に出席した天皇、皇后両陛下
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 宮内庁のサイトに、「忘れてはならない4つの日」の一つとして示されている、8月15日の終戦記念日。天皇皇后両陛下は今年も、日本武道館で開かれた「全国戦没者追悼式」に出席された。陛下の追悼のおことばは一見、例年通りの内容だったが、今年は「コロナ」に言及されなかったなどの変化もあった。そこには、陛下のどんな思いが込められているのか。元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんに話を聞いた。

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――天皇陛下のおことばを聞いて、まず感じたことは?

 コロナについてまったく触れられなかったのは、予想外でした。去年までの3年間、陛下はこの追悼式で、「日本は戦後、あれだけの荒廃から復興した。コロナという新たな苦難も力を合わせて乗り越えよう」というメッセージを発してこられました。戦没者の追悼式ですから、必ずしもコロナに言及する必要はないにもかかわらず、国民を励ましたいという強いお気持ちがあったのでしょうね。ですから、今年は「ようやく日常に戻りつつあります」というようなことをおっしゃるのかなと思っていたのですが……。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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少しの「変化」でもリスクがある