全国戦没者追悼式に出席した天皇、皇后両陛下

――コロナへの言及がなくなった以外は、基本的に去年までのおことばを踏襲されていました。

 昭和、平成、令和と、おことばの大筋は変わっていません。遺族感情を考えれば、犠牲者を悼み、平和を願うという内容を大きく変えることはないでしょう。また、天皇のおことばですから、少しの変化でも話題を呼んでしまうリスクがあります。戦後70年の追悼式で、上皇陛下が初めて「深い反省」という言葉を入れられたときは、大きな注目を集めました。こういう文言は一度使うとカットするわけにはいかなくなりますので、今年も「過去を顧み、深い反省の上に立って」という文言が盛り込まれていました。

――両陛下のお召し物も、昨年までと大きな変化はないように見えますが、何か決まりがあるのでしょうか?

 いえ、特にルールはありませんが、あのような場で、毎年服にバリエーションを出すのは難しいでしょう。皇后陛下は今年もグレーのセットアップでしたが、黒だと喪服のようになってしまいますし、やはり色としてはグレーが無難なんだと思います。

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 上皇后陛下は、平成24年の上皇陛下の心臓バイパス手術のあとは、平成30年までいつもお着物でした。手術の担当医が、最も注意すべきは「転ばない」こととおふたりに伝えていたそうですが、上皇后陛下は、もし上皇陛下がよろけられたときには、ヒールよりも草履の方が支えやすいからとお着物にされていたそうです。

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