首相官邸に入る岸田文雄首相=2023年8月15日
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 今になって岸田文雄首相は、「あの時、衆議院を解散していれば良かった」と悔やんでいるに違いない。「あの時」というのは6月13日、少子化対策の強化に向けて「こども未来戦略方針」を閣議決定し、それを披露するために首相会見を開いた時だ。だが自民党内では麻生太郎副総裁をはじめ、「4年の任期の半分も過ぎていない」と衆議院の解散に対して反対意見が多かった。もとより「こども未来戦略方針」の中身についても、党内外の評価は低かった。必ずしも頑強とはいえない岸田首相の党内基盤。総裁派閥である宏池会は、党内第4勢力にすぎないのだ。

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 そして「あの時」から内閣支持率は下降し続けている。8月9日に公表された時事通信の世論調査では、内閣支持率は前月から4.2ポイント減の26.6%と、30%を割っている。自民党支持率も21.1%と前月から2.5ポイント減少し、「内閣支持率と与党第1党の政党支持率を足して50を割ると政権運営が厳しくなる」といわれる「青木率」は47.7で、いよいよ赤ランプが点滅し始めた。このままでは衆院選どころか、来年の総裁選も危うくなりかねない。

 しかも身内からの相次ぐスキャンダルや不祥事が発生した。まずは岸田首相が最も信頼を寄せているといわれる木原誠二官房副長官だ。週刊文春は6月15日発売号で木原氏の“愛人と隠し子問題”を報じた後、妻の元夫の“不審死問題”を立て続けに報道中だ。木原氏は「家族のケアのため」と称して恒例の記者レクを休止したが、文春の追撃はやむ気配はない。

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大炎上後も「往生際が悪い」