(1)の文化背景の知識とは、「ドラえもん」で言えば、日本の小学校はどんなものなか、親子関係、友人関係はどう築かれているのか、などの日本人の日常生活についての知識です。わび・さび・禅などの日本文化ももちろん重要ですが、もっと日常に根差した、市井の生活の知識も身につける必要があったのです。
(2)のセットフレーズ(set phrases)とは、本書だけの呼称で、組み合わさることで新しい意味が生じる単語のあつまりのことです。日本語で例を挙げますと、「時を刻む」もこのひとつです。時を刻むとは、言葉どおりに「時を(刃物などで)切り刻む」ということではないですよね。このように、ただ個々の単語の意味を取るだけでは理解できない単語の集まりのことをセットフレーズと呼んでいます。
そのことに気がついて、理解に不可欠な「ふたつの知識」を補う意識を持ってから、私の日本語の会話力は目に見えて高まっていきました。
本書は、「学校の教科としての英語はある程度身についている、つまり単語も文法もある程度身につけたが、実際に英語を使おうとすると使えない。英会話を自在に楽しむには一歩足りていない」と感じている皆さんにPeanuts を読み込んでもらい、スヌーピーたちの言葉を範としながら「ふたつの知識」の鍛え方を学び、本当に使える英会話力の土台を作ってもらう書籍です。
私にとってのドラえもんは、皆さんにとってのPeanuts にあたるのではないかと思います。
次のコミック(※外部配信先では図版などの画像が全部閲覧できない場合があります。図版をご覧になりたい方は、AERA dot.でご覧ください)を読んでみてください。
テキストを書き出したものが下記です。
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Well, Snoopy, wish me luck... I’m off to the sweetheart ball...
I’m sorry you can’t come out with me...
“Man’s best friend,” but we never get invited anyplace...
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いかがでしょう。楽しむことができましたか?
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それでは答え合わせです。下記で意味を確認してみましょう。
このエピソードを楽しむためにも「ふたつの知識」が必要だとわかると思います。
Peanuts は、アメリカの文化背景の知識と、日常英会話表現の宝庫です。ネイティブスピーカーから見てむずかしい英単語は使われていません。もし、読んでみてむずかしく感じる表現があったとしたらラッキーです。学校のテキストには載っていなかったけれど、ネイティブスピーカーの使用頻度が高い表現をひとつ覚えられる、ということですから。