アメリカ人も日本人も、みんな大好きスヌーピー(『ピーナッツ』コミック)。実は、その英語のセリフのほとんどは、日本人が中学3年生までに習うレベルのかんたんな単語しか使っていません。それなのに、どうして意味がわからないのか……。
【画像】チャーリー・ブラウンとスヌーピーが使っている英語、わかりますか?
それは、日本人に足りない「ふたつの知識」があるからです。
「ふたつの知識」とは何か? 今回、刊行されたばかりの『毎日のスヌーピー』から、冒頭の解説部分を抜粋して掲載します。日本で長年英語を教えている早稲田大学名誉教授のジェームス・バーダマン先生が編著です。
「ドラえもん」はむずかしい
「中学、高校、大学とまあまあ英語を勉強した、成績も悪くない。でも、ごく簡単な単語しか使われていないネイティブの日常会話の意味が理解できない」という英語学習の悲劇はなぜ起きるのでしょうか。
その理由は、英会話に必要な「ふたつの知識」が足りていないからだと思います。私がそのことに気がついたのは、自身の体験を通してでした。私が、26 歳でアメリカから日本に来て初めて「ドラえもん」を見たときの経験をお話しします。
私は大学で5年間、真剣に日本語を学びました。アメリカから渡日したころの私の日本語読解力は、夏目漱石や森鷗外の作品を読んで理解できるまでに達していました。手前味噌ながら、漢字の語彙力や日本文学の読解に関して言えば、日本の大学生に引けを取らないものを持っていたと思います。ところがです。ある日、テレビから流れてくる「ドラえもん」を観て、呆然としました。のび太やドラえもんが話す、ごく簡単なはずの会話の意味がとれず、何が面白いのか、どこが笑いどころなのか、全く分からなかったのです。
あれだけ真剣に勉強したにもかかわらず、なぜ「ドラえもん」で交わされる会話が理解できず、笑えないのか。
単語力と文法の知識は十分にあったはずなのに、です。私が日本に来てぶつかったこの壁は、実は私が日常のコミュニケーションに欠かせない「ふたつの知識」を鍛えていなかったことを明らかにしてくれたのです。