――スタートは順調だったのでしょうか。

 群馬の実家に帰り、家業のりんご園を手伝いながら、撮影準備を進めていきました。撮影に適した静かな環境がほしく、近くに古民家も借りました。まさに山奥に籠る感じで、今でも製作場として利用しています。

 マークしていたアメリカ人のAMSRクリエイターがいて、すっかり真似すれば質の高い映像ができるんじゃないかと、安直な考えでいたんですが、やっぱりうまくいかなかった。照明の強さ、マイクの向きや位置など何度もやり直しを重ね、しっくりこない機材をメルカリで売っては、また新たに買って試す、ということを繰り返していました。

 そして10月、YouTubeに初投稿。自分なりに研究して作ったので、もしかしたら、うまくいっちゃうんじゃないかと期待していたんです。でも、1週間以上たっても再生数は100程度……。
 

3億回も再生されたけど……

――そこから、どうバズる世界へ踏み出すんでしょうか。

 落ち込んでばかりもいられないので、作っては食べるという動画を作り続けていました。1~2分の短いダイジェスト版動画にしてインスタやTwitterでも宣伝したのですが、どれも目立った反応はなし。最後に行きついたのがTikTokでした。

 実は、遠ざけていたんです。高校生ぐらいの若者たちが音楽に合わせて踊る映像がメーンなので、30歳を超えた僕みたいなのが料理動画なんて投稿したら、変なコメントがつくんじゃないかという怖さもあって。

 よりリズムが重要な場だと感じたので、細かいカットをつなげてテンポよく調理しているように見せました。

 20年2月に投稿を始めると、これまでにない反応があって、しばらくすると一気にフォロワー数が10万くらいに増えたんです。コメントを見ると、日本だけでなく世界の人も見てくれている。半分諦めの気持ちもあったので、興奮しました。

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反響が大きかったものは