台北駅にも性別友善廁所はあった。広い個室に大人用と子ども用の洋式トイレやオストメイトトイレ、おむつ替えの台などが並ぶ、「誰でもトイレ」といった様相だ。
台湾でジェンダーレストイレが誕生してから10年以上。台湾人は、その必要性を認めつつも、旧来通りの男女別トイレに足が向く。やはり安全性への不安や恥ずかしさ、気まずさはなかなか消えない。
そのジレンマは行政も察知している。台北駅からもほど近く、展望台も備えた観光スポットとして知られる新北市政府庁舎には、新タイプのオールジェンダートイレがお目見えした。小便器、洋式・和式トイレ、親子トイレがそれぞれ鍵付きの個室に設置され、中央には洗面台がある。ほかにおむつ替えの台や更衣スペース、介護用ユニバーサルシート、生理用品の無料提供などもある。
担当者は「安全性とプライバシーに考慮し、非常ベルや出入り口に監視カメラを設置している」と話している。
これだとジレンマもいくらか解消されそう?
(現地ジャーナリスト・林綾子)