日本では最近、設置をめぐって話題となったジェンダーレストイレ。台湾では以前から各所に設置されている。その様式も様々で、使い勝手も違う。ジェンダーレストイレの先進地域である台湾の現場を紹介する。
【写真】新北市政府庁舎に登場したオールジェンダートイレはこちら
台湾の首都・台北市で「台北の原宿」ともいわれ、若者の町としても知られる西門。そのランドマーク的存在である赤レンガ造りの「西門紅桜」のトイレに向かうと、中から小さな女の子とその父親らしき親子連れが出てきた。
「入っていいのかな?」。筆者(女性)がためらっていると、追い越すようにまず女性、その後ろから男性が続いてトイレに入っていった。よくよく見れば入り口に「性別友善廁所」の文字。ジェンダーレストイレだ。
台湾では他にも、「中性廁所」「無性別廁所」「男女共用/通用廁所」「性別中立廁所」などとも表記される。
西門紅桜のそれは、下に英語で「All Gender Restroom」とある。男女を示すアイコンはなく、代わりに便器のイラストが掲げられていた。
なかは細長く、両サイドに11の個室トイレが並んでいる。そのうち三つが洋式、残りが和式だ。ひとりの女性が洋式トイレの前で待っていた。その横を男性が通り過ぎていく。
用を足し個室を出ると、反対側の入り口からも続々と人が入ってくる。その方向に行ってみると、広い半個室があり、男性用の小便器が並んでいた。
台湾のジェンダーレストイレについて、教育系メディア<親子天下>にこんな記事があった。
<公立小中高校の100校に対し8校が個室内に小便器と洋式トイレを備えたジェンダーレストイレを設置。これは2015年からはじまった教育部(日本の文部科学省に相当)の補助金制度を利用し、多くの学校が老朽化したトイレを改修する際にジェンダーレスを採り入れてきたためだ。2023年4月までに公立の小学校で222校、中学校で41校、高校では48校に設置され、全部で595室がある>