ソフトバンク・高橋純平
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 7月31日に今シーズンのトレード期間が終了したプロ野球。シーズン開幕後に移籍した宇佐見真吾、齋藤綱記(ともに日本ハム中日)、郡司裕也、山本拓実(ともに中日→日本ハム)、石川慎吾(巨人ロッテ)などは新天地で早速結果を残し、チームにとって貴重な戦力となっている。昨年オフに初めて行われた現役ドラフトでも大竹耕太郎(ソフトバンク阪神)、細川成也(DeNA→中日)が大ブレイクし、移籍市場が活発化した印象だ。

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 しかし今シーズン中には移籍しなかったものの、他球団であれば活躍の余地があるのではないかという“もったいない”選手はまだまだ存在している印象だ。まず投手で挙げたいのが高橋純平(ソフトバンク)だ。2015年のドラフトでは3球団から1位指名を受けてソフトバンクに入団。4年目の2019年にはリリーフとして45試合に登板して3勝、17ホールドの成績を残したが、それ以降は度重なる故障もあって低迷している。

 今年もここまで一軍での登板はなく、二軍でも21試合に登板して防御率は5点台後半と結果を残すことはできていないが、先日三軍で出場した徳島インディゴソックスとの試合では最速149キロのストレートを武器に1回を三者凡退と圧巻の投球を見せており、調子は上がってきている印象を受ける。素材の良さは素晴らしいものがあり、楽に腕を振って速いボールをコーナーに投げ分けることができるのは大きな魅力だ。今年で26歳とまだ若く、現役ドラフトで移籍した大竹、近藤健介の人的補償で移籍した田中正義(日本ハム)のように、環境が変わればブレイクする可能性も十分にあるだろう。

 投手でもう1人他球団であればと感じさせるのが黒木優太(オリックス)だ。ルーキーイヤーの2017年にいきなり55試合に登板するなどブルペンを支える存在となったが、登板過多の影響もあってか2019年にはトミー・ジョン手術を受けて一度は育成契約となっている。

 昨シーズンようやく4年ぶりに一軍復帰を果たし、27試合に登板して復活を印象付けたものの、今年は一軍と二軍を行ったり来たりする日々が続いており、ここまで一軍では6試合の登板にとどまっている。それでもコンスタントに150キロに迫るストレートは勢いがあり、決め球であるフォークで空振りを奪えるのは大きな武器で、コントロールも安定している。リリーフが手薄な球団にとっては魅力的な人材であることは間違いない。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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