石川がロッテに移籍して活躍しているが、同じ巨人の野手で可能性を感じさせるのが北村拓己だ。3年目の2020年には一軍で17安打、2本塁打、翌年の2021年には23安打、4本塁打を放ち、才能の開花を予感させたがその後は出場機会が減少。今年も一軍では8試合の出場でわずか1安打という成績となっている。

 それでも二軍では3割を超える打率をマークしており、36四球はチームトップの数字で、出塁率の高さも魅力だ。内野であればどこでも守ることができるのも持ち味で、亜細亜大出身ということで小技も上手い。チームでは門脇誠、中山礼都、増田陸など若い選手がいるだけになかなか出番はないが、貴重な右打ちのパンチ力のある内野手として面白い存在である。

 最後に実績のある選手でもったいないと感じさせる選手として西川遥輝(楽天)の名前を挙げたい。2021年オフにノンテンダーという形で日本ハムを自由契約となり、楽天に移籍したが同じタイプの左打の外野手が多いチーム事情もあって移籍2年目の今年は出場機会が激減。ここまでわずか12安打という数字に終わっている。

 それでも二軍では35試合の出場で打率.367、4本塁打と格の違いを見せており、8盗塁をマークするなど自慢のスピードは衰えていない。日本ハムでレギュラーを獲得したのが早かったためベテランという印象があるものの、今年で31歳とまだまだ老け込むには早い年齢である。出塁率の高さとスピードは大きな武器であり、外野が不足している球団であればまだまだ復活する可能性はありそうだ。

 冒頭でも紹介したようにトレードや現役ドラフトで環境を変えたことで力を発揮する選手は増えてきている。このオフも選手を生かすためのトレードが多く行われることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
台風、南海トラフ地震、…ライフライン復旧まで備える非常食の売れ筋ランキング