
ときには、こんなこともあったという。
「公道の街路樹などに除草剤を撒いていて、周辺の住民から『何やってるか』と注意されました。やばいと同僚と相談して、店長に話すと、『人通りが少ない夜なら、ばれない。夜の闇にまぎれてやればいい』と指示された」
ビッグモーターが7月25日に開いた記者会見では、兼重宏行社長(当時)が、街路樹へ除草剤を撒いた問題について、「除草はやるので、それでなったのか」「枯らすようなことはやりませんよ」などと答えていた。新社長となった和泉伸二専務も、除草剤を撒いたことは認めながらも、「かれこれ10年ぐらい前の話」としていた。
しかし、全国の自治体の調査によって、ビッグモーターが公共の植栽に除草剤を使用していたことが、次々と確認されている。
怖くて話せない元社員はたくさんいるはず
ビッグモーターは7月28日にホームページに、「当社店舗周辺における街路樹の原状回復について」というタイトルで文章を掲げ、
<店舗で清掃活動の際に使用した除草剤等による影響により、街路樹や植え込みが枯れた可能性が高いことが判明いたしました>
と除草剤の使用とその被害を認めることになった。
Bさんは、憤慨する。
「兼重前社長らの記者会見は唖然とした。10年以上、除草剤の使用をしていたはず。それは、本社の過剰なノルマや降格人事をちらつかせるパワハラのためです。それを『枯らすようなことはやりません』というのは、ごまかし、責任回避です」
そして、こう話す。
「ビッグモーターは入れ替わりが激しい会社ですから、不正を告発したい社員や元社員はたくさんいる。しかし退社するときに『秘密は口外しない。漏らすと制裁の可能性がある』という誓約書にサインを求められる。そのため、怖くて話せない元社員はたくさんいるはずです。私も今、話している内容は、でたらめや不正のほんの一部ですから」
ビッグモーターのパワハラは、退職後も続くのだ。
(AERA dot.編集部 今西憲之)