大阪市東住吉区のビッグモーター東住吉店前
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「なんで今頃、除草剤のことで騒いでいるのかなと思う。ビッグモーターの店舗には、たいてい除草剤が用意されていたはずです」

【写真】街路樹が無くなったビッグモーター東住吉店と同じ歩道沿いにある店舗の前はこちら

 こう話すのはビッグモーターの元社員Aさんだ。

 中古車販売大手「ビッグモーター」が、店舗に面する公道に植えられた街路樹など公共の樹木に除草剤を撒いて枯らしたり伐採したりしていた問題で、元社員がAERA dot.編集部の取材に生々しい証言をしてくれた。

 元社員Aさんは、数年前まで静岡県内の店舗で営業の仕事をしていた。入社して3、4か月ほどたったとき、店長から、

「これ撒いておいてくれ」

 と手渡されたのが、除草剤だったという。

「どこに撒くのですか」

 と聞くと、

「道路の植え込みのところ。本社から人がきて点検があるから」

 と命じられたという。

「ビッグモーターの営業は歩合が収入の柱なので、車の買い取りをするとそれに関する書類作成などなんでも一人でやるので忙しい。入社して日が浅く、暇な時間があった自分に、店長から『やれ』と言われたので印象に残っている」

 とAさんは話す。

店舗の出入り口から10m以内に雑草あると給料減

店長はAさんに、除草剤を撒く理由について次のように説明したという。

「店舗の出入り口から10m以内に雑草があると、給料が減らされる。雑草が何度もはえていたら、降格人事になってしまう。だから、定期的に除草剤を撒く。夏場はよくはえるので多めに撒く」

 Aさんはまた、

「街路樹でビッグモーターの看板が見えづらい」

 と、雑草だけでなく街路樹が枯れることも想定したような話も聞いたという。

 ビッグモーターのホームページには各店舗の写真が掲載されていて、Aさんがいた店舗の写真では、店舗前に低木の植栽が施されている。だが実際には、静岡県の調査で、この店舗前の植栽は枯れていることが確認されている。

 ビッグモーターでは本社から月に1度「環境整備点検」と称して、本社による店舗の調査が実施される。チェック項目は20ほどにのぼる。その一つで、店舗近くに雑草などがはえていると即座にチェックを受け、厳しく指導を受ける。場合によっては、店長などが給料の減額や異動になることもあるという。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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