子どもにとって楽しいはずの夏休みは、親にとって憂鬱の始まり。そんな「お昼ごはん問題」を改善する取り組みが徐々に広がっている。AERA 2023年8月7日号の記事を紹介する。
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夏休みシーズンが到来した。
午前11時半、オフィスでパソコンに向かっているエッセイストの佐藤友美さん(47)の携帯に、自宅にいる小学6年の息子(12)からメッセージが届く。
「今日はカレーがいい」
「オッケー、注文するね」
そう返信してから佐藤さんは、ウーバーイーツのアプリを開き、息子の好きなカレーを選んで「注文する」をクリックした。画面には「お届け先が現在地から離れているようです」という注意喚起の通知が出る。
仕事ができ心に余裕も
「この瞬間はいつもドキッとして、息子に申し訳ない気持ちになります。でも、おかげで私は仕事ができるし、心に余裕が生まれる。ウーバーイーツを『受け取った』と表示されたら、息子の生存確認にもなる。それでいいじゃない、と思ってます」(佐藤さん)
夏休み期間は、給食がない。子どもの「お昼ごはん」は、親にとって夏の最大の課題だ。
東京都江東区の女性(38)は今春、第3子となる長女を出産した。ちょうど長男(7)は小学校に、次男(3)は幼稚園に入るタイミング。それぞれ給食があるので、2人を送り出した後は家事を済ませて、長女がお昼寝中にコーヒーを飲むのがつかの間の息抜きだった。女性は、
「いいタイミングで(3人目を)産めてよかった、と。だけど、夏休みが近づいてきた時、これはまずい、と焦りました」
と話す。3人の子どもと40日間ずっと過ごすのか──。頭を抱えていた時、同区内にあるインターナショナルスクールのサマースクールを見つけ、即決で申し込んだ。費用はやや高いが、長男も次男も参加でき、丸1日預かってもらえることに加え、最大の決め手は「ランチの注文可能」だったことだ。
「本当に助かります。一日中キッチンに立っているような状態になるところでした」(女性)