子どもの問題と地続き
福田さんたちは調査を進めるうちに、外国人妊産婦への支援不足が、その子どもの未就園などの問題と地続きになっていると思い至った。まずは外国人に妊娠から小学校入学までに日本で必要な手続きを理解してもらおうと、その流れがひと目でわかる「子育てチャート」を多言語で制作。すると全国の行政や病院から、問い合わせが殺到したという。
外国人妊産婦は情報だけでなく、「居場所」も求めている。前出のウェニさんも「(マザーズが行う)講座で育児の悩みを相談すると、助産師や先輩ママがアドバイスをくれてとても助かる」と話す。問題が解決しなくても「わかる」と共感してもらえるだけで、心が落ち着くこともある。子育てに前向きになったウェニさんは、ティアラさんの手を借りながら近いうちに「児童館デビュー」をしたいと語る。
講座のほか病院や行政への付き添いなど、マザーズの外国人妊産婦支援への需要は高いが、こうした活動は女性幹部の少ない企業や組織からは関心を持たれづらく、寄付集めには苦労すると坪野谷さんは言う。(ジャーナリスト・増保千尋)
※AERA 2023年7月31日号より抜粋