昨年から続く値上げラッシュに財布の口を締める人も多いが、一方で通常よりやや高い「プレミアム商品」が好調だ。高くてもつい買ってしまうあの商品の魅力に迫った。AERA 2023年7月31日号の記事を紹介する。
【写真】上品な甘さやプレミアム感が人気の「プレミアムバナナNEXT716」はこちら
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最近、うちの食料品置き場が、妙にキラキラしている。
「プレミアム」と名付けられた、パッケージもキラキラした商品をやたらと買っているからだ。ビールやコンビニなどのプレミアム商品は有名だが、気がつけばふりかけやら調味料やらお菓子やら。ストックした商品の多くに、しっかり「プレミアム」の文字が輝くようになった。
身の回りの物がどんどん値上がりし、プンプンしながらスーパーに出かけると、お目当ての商品の隣にはキラキラしたパッケージのプレミアム商品が。1円でも安いものを求めているはずなのに、すべての物が激しく値上がりしているからか、プレミアム商品に、むしろ割安感さえ感じてしまうからいけない。かくしてキッチンはキラキラパッケージだらけになった。
■こだわり付加した商品
そんなプレミアム商品の世界へようこそ。リアルのスーパーマーケットやオンラインスーパーなどを探しまくって、「プレミアム」や同義の言葉を名乗る商品を片っ端から買ってみた……とその前に、プレミアム商品について予習しておこう。
「高付加価値商品」とも呼ばれることがある特別感のある商品のことで、例えば食品なら、材料や製法などにこだわりを付加した商品などを指す。
ちなみにデパ地下通いを趣味とするうちの夫の母が大好きな「特選」シールのついた高級食材なんかが、たぶんその源流。買う側はちょっとした高級感で節約疲れをいやす一方、売る側にとってはブランディングや高収益にもつながる人口減少時代の切り札として注目されている。
しかもこの物価高のなか、かえって売り上げを伸ばしているプレミアム商品も多いという。最近、百貨店などで見かける黄色に輝くプレミアムバナナも、そのひとつ。「NEXTファーム宮崎」のNEXT716だ。
皮まで食べられる無農薬国産バナナで、価格は大きさによって1本600~1千円ほど。初収穫は2019年だが、上品な甘さやプレミアム感が受けて、年10万本売れるヒット商品に。
「値上げラッシュのなかでも、販売数はむしろ増えています。値段以外のところで商品を選んでくださるお客さまが確実にいることを、身をもって感じますね」(同社代表の内田匡彦さん)
バナナは昔、病気のときにしか食べられなかった超高級品。そんなかつての地位を取り戻そうという復権つながりでは、ポテトチップス「湖池屋プライドポテト」もそうだ。