阪神の監督時代にチームの“守乱”をファンに謝罪した吉田義男氏
阪神の監督時代にチームの“守乱”をファンに謝罪した吉田義男氏
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 思わず拍手を贈りたくなるような超美技が演じられる一方で、時にはプロらしからぬトンデモ拙守が見られるのも“筋書きのないドラマ”野球ならでは。ファンも怒りを通り越して、つい笑ってしまった伝説の珍プレーを紹介する。

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 拙守、また拙守で、あれよあれよという間に同点を許してしまったのが、1998年の阪神だ。

 5月24日の横浜戦、4対3とリードした阪神は7回、竹内昌也が代打・荒井幸雄から三振を奪い、まず1死。次打者・石井琢朗も一ゴロに打ち取ったかに見えた。

 ところが、これで二死と思いきや、大豊泰昭が追いつくことができず、打球は左側を抜けていった。

 ライト・桧山進次郎の緩慢な動きを見た石井は、俊足を飛ばして一気に二塁を狙う。

 直後、慌てて前進し、ようやく打球に追いついた桧山だったが、ボールを握り損ねた状態で二塁に投げたことがアダとなる。

 送球は大きく右にそれ、レフト・パウエルもバックアップを怠ったことから、サード・ハンセンがボールを追った。

 三塁ががら空きになったのを見た石井は、二塁を回って三塁へ。その後ろからセカンド・今岡誠が必死にカバーに入ろうとダッシュしたが、当然間に合わない。

 にもかかわらず、ハンセンがよせばいいのに慌てて三塁に送球すると、これまた今岡の背中側を抜ける悪送球に。石井は「しめしめ」と三塁を回る。

 そして、捕手・矢野輝弘も三塁カバーに走っていたため、本塁もがら空きになっていた……。

 竹内が一塁ファウルゾーンでボールに追いついたときには、石井は余裕で同点のホームを踏んでいた。記録は二塁打と桧山、ハンセンのダブルエラー。これには大忠義コーチも「何十年野球やってて、初めてのプレー」と開いた口が塞がらなかった。

 ラッキーな同点劇で勢いづいた横浜は、二死から四球を挟んだ4連打の猛攻で6対4と逆転。そのまま逃げ切った。

 草野球並みの守乱で勝ちゲームを落とした阪神・吉田義男監督は「本当にお粗末でした。こんな試合をしてたら、お客さんに申し訳ない」と小さくなるばかりだった。

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その2年後にデジャブとも言うべき珍光景