だが、話はこれだけでは終わらなかった。虎党は2年後にもデジャブとも言うべき珍光景を再び目にすることになる。
00年5月17日のヤクルト戦、0対0の9回に2四球で1死一、二塁のピンチを迎えた阪神は、葛西稔が岩村明憲をスライダーで引っかけさせ、高いバウンドの二ゴロに打ち取った。
あわよくばゲッツーのケースだったが、セカンド・星野修が一塁走者・副島孔太に視界を遮られ、まさかの後逸。打球が右前に抜ける間に二塁走者・ペタジーニが勝ち越しのホームを踏み、副島も一気に三塁を狙った。
「そうはさせじ」とライト・桧山が三塁に送球すると、なんと、ファウルゾーンに大きくそれてしまう。サード・ハートキーがボールに追いつき、副島を本塁で刺そうとしたが、これまた一塁ファウルゾーンに抜ける大暴投。ドタバタ劇さながらの連続拙守の間に、岩村の生還まで許してしまった。
ID野球の名が泣く3連続エラーの“ランニング3ラン”に、さすがの野村克也監督もぶち切れたのか、「守りが乱れた?」という報道陣の問いかけにも「エエ~ッ?」と怒鳴り返しただけで、コメントを封印した。
可哀想だったのは、9回から3番手で登板し、先頭のペタジーニに四球を与えただけで降板したルーキー左腕・吉野誠。降板後、守乱のとばっちりで、ほろ苦いプロ初黒星を味わう羽目になった。
最後はあまりの拙守ぶりから“守乱シスコ”の異名をとった巨人の助っ人、フアン・フランシスコを紹介する。
2015年のシーズン途中に巨人入りしたフランシスコは、デビュー戦の5月2日の阪神戦で来日初安打と初打点を記録したが、同4日の広島戦で、その名を一躍高める“大ポカ”を演じてしまう。
2対2の9回、1死満塁のピンチに小窪哲也が本塁付近に高々と飛球を打ち上げた直後、一塁を守っていたフランシスコは、インフィールドフライが宣告されたことに気づかないまま、グラウンドに落ちたボールを拾い上げると、本塁ベースを踏み、併殺狙いで一塁に送球する構えを見せた。