だが、このケースでは、本塁封殺は成立せず、ハーフウェイから本塁を狙った三塁走者・野間峻祥にタッチしなければ、アウトは成立しない。
この結果、NPB史上2度目の“サヨナラインフィールドフライ”の珍事となり、“フランシスコ事変”としてファンに長く記憶されることになった。
さらに翌5日の広島戦でも、フランシスコは1回1死一、二塁で新井貴浩のファウルフライを捕球できず、直後、悪夢の10失点を呼び込む結果を招く。
そして、同6日の広島戦でも、初回に菊池涼介の一塁寄りのバントを判断ミスで安打にしたばかりでなく、3回にも菊池の投ゴロの際にベースカバーが遅れ、送球をポロリ。原辰徳監督を「あれだけ足を引っ張ると……。守備はプロとして非常に恥ずかしいですね」と呆れさせ、スポーツ紙に“守乱シスコ”の見出しが躍った。
ファンからも「少年野球以下」と酷評され、5月7日に2軍落ちしたメジャー通算48本塁打の強打者は、拙守が災いし、出場わずか5試合でお払い箱に。やはり「野球は守りから」ということか?(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。