チョーヤ梅酒 企画広報推進部課長 坂本昌也(さかもと・まさや)/1982年生まれ、広島市出身。入社後、営業職として札幌営業所、東京支店を経験し、12年、企画広報推進部に異動。製品開発、SNSなどプロモーション担当。梅マイスターとして幅広く活動する(撮影/写真映像部・高野楓菜)
チョーヤ梅酒 企画広報推進部課長 坂本昌也(さかもと・まさや)/1982年生まれ、広島市出身。入社後、営業職として札幌営業所、東京支店を経験し、12年、企画広報推進部に異動。製品開発、SNSなどプロモーション担当。梅マイスターとして幅広く活動する(撮影/写真映像部・高野楓菜)
この記事の写真をすべて見る

 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2023年7月24日号にはチョーヤ梅酒 企画広報推進部課長 坂本昌也さんが登場した。


*  *  *


 2016年に発売した「The CHOYA(ザ・チョーヤ)」を成功に導いた立役者だ。20年には初年度の5倍を売り上げ、その後も順調に伸び続けている。


 営業時代、他社にシェアを奪われる中で、リブランディングの必要性を感じ、会社名を冠とした商品を新しく開発したいと思った。


 社員の意見に真摯に耳を傾けてくれる社風であり、「まずはやってみたらいいんやで、誰にも結果はわからんのやし」という社長の言葉を受けてチャレンジした。


 チョーヤ梅酒では元々、酸味料や香料など添加物を一切使わず、梅の実と糖類と酒類だけを漬け込んだ完全無添加の商品をつくってきた。


 そこで、数あるタンクで熟成梅酒をブレンドし、「甘すぎず、かつ香りを引き立てた本格梅酒」を生み出した。ボトルにはあえて梅の実を入れず、リキュールとして楽しめるよう工夫した。消費者の好みで飲み方を選べるようにしたことがヒットに繋がった。以来、100種類以上の商品をプロデュースしている。


 梅酒の飲み方を若者や女性にプロモーションする場が欲しいと、バーの出店も立案。19年に梅酒カクテル専門店「The CHOYA 銀座BAR」をオープンさせた。


 しかし、開店後すぐにコロナ禍となり、アルコールの提供ができなくなった。それでも、試行錯誤を重ねた。まずは開店時間を昼間に変更。アルコールが駄目ならばと、梅のシロップを研究した。自身も梅マイスターとして、梅を熟知しており、フルーティーな特性を生かした、様々なスイーツのメニューを考案した。


「梅を今までにない形で届けたかったんです」


 クリームソーダにかき氷、ハイティーセットと種類の豊富さでも勝負を続けた結果、来店客の8割が女性、20~30代が7割と、当初の目的を達成することができた。


 さらに、梅の文化を知ってもらいたいと、SNSを一から立ち上げ、映える写真と共に情報をアップ。今では20万人のフォロワーがいるほど人気のアカウントだ。


「自分が楽しめる、という視点で企画を考えています」


 現在、香港での2号店オープンに向けて日本と行き来をしている。ノンアルコール商品も開発中で、世界中でThe CHOYAが選ばれるのが夢だ。(ライター・米澤伸子)

AERA 2023年7月24日号