「あれは、沖縄で自分の周りにいた子たちの、ありのままの姿なんですよね。最初は沖縄のみんなへのメッセージのつもりで作ったんです。自分が東京で頑張って売れたように、どんな子でも可能性はあるんだよって伝えたかったし、動画に出てくるどうしようもない人たちを見て、案外私って頑張ってるかも、みたいに思ってくれたらいいなって。そしたら全国的に人気が出たからびっくりしたんですけど、ちゃんと沖縄の子たちに届いているのがわかって、すごくうれしい」

 ryuchellは、こんなことも言ってました。

「沖縄って光と影があるじゃないですか。でも、影から目を背けるんじゃなくて、笑いながらでもいいから、その暗い部分をちゃんと見ることを大事にしたい」

 沖縄の人には、これ、よく分かります。本土の人の沖縄のイメージって、青い海ときれいなビーチとか、面白い伝統文化とか、どこかキラキラしていますよね。でも、ryuchellが発信していたミーカーの世界なんかは、貧困の問題とからんだ、ある種の影なんです。学校に行っていないとか、妊娠して男に逃げられるとか。でもそういう姿を「かわいそう」と思わせるのではなく、「こんな人たちもいるの?」って笑っちゃうくらい明るく表現することで、多くの人に目を向けてもらう。ryuchellなりの戦略だったようです。

 イベント当日、ミーカーの動画を会場で流したら、60代70代のお客さんも手をたたいて大ウケしていました。割れんばかりの笑いと拍手に、ryuchellも「みんなに伝わってるー!」ってすごく興奮していて。「このシリーズは自分が芸能界で生きていくうえでの根幹みたいになってて、第2弾、第3弾と次の展開も考えているので、楽しみにしててください!」って話してましたね。

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飛び出した「カミングアウト」