甲子園出場までは届いていないものの、復活の兆しが見られるのが帝京だ。春1回、夏2回の甲子園優勝を誇り、かつては“東の横綱”と言われていた強豪も2011年夏を最後に甲子園出場から遠ざかっている。コロナ禍の2020年夏は東東京の独自大会で優勝したが、前田監督は2021年夏を最後に退任。同校のOBである金田優哉監督が後を継ぐこととなった。

 近年は都の大会でも苦しむことが多かったが、金田監督就任後は5季連続で準々決勝以上に進出。この春は東京都大会でも強豪を相次いで破って優勝を果たし、続く関東大会でもセンバツ優勝の山梨学院に競り勝っている。以前は年末年始しか休みがないという猛練習で知られていたが、現在は休養日も多くとるようになり、またトレーニング方法を見直したことなどが奏功しているという。現在のチームも下級生の頃からマウンドを経験しているエースの高橋蒼、三拍子揃ったセンターの稲垣渉など力のある選手も多く、12年ぶりとなる夏の甲子園出場も十分射程圏内と言えそうだ。

 一方で監督交代後に苦しんでいる印象が強いのが神奈川の両雄と言える横浜と東海大相模の2校だ。横浜は渡辺監督の後を受けた平田徹監督(現・彩星工科監督)のもとでも夏の神奈川大会3連覇を達成するなど4度の甲子園出場を果たしたが、上位進出を果たすことはできなかった。2019年秋には平田監督が選手に対する暴言によって解任され、新たに村田浩明監督が就任し、2021年からは2年連続で夏の甲子園に出場しているものの、いずれも1勝を挙げるにとどまっている。チームとしてのブランド力は健在で、中学時代に有名な選手は変わらず多く入部しているが、昨年は早くから期待されていた選手が退部し、転校するということもあった。

 また春夏合わせて4度の甲子園優勝を果たした門馬敬治監督(現・創志学園監督)が退任し、元プロ選手である原俊介監督が新たに就任した東海大相模は横浜以上に苦しんでいる。原監督就任直後の秋の県大会は優勝を果たしたものの、続く関東大会では準々決勝で敗れてセンバツ出場を逃すと、それ以降は関東大会にも出場することはできていない。

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東海大相模には“気がかりな点”も…