今年から“新たなスタート”を切った札幌ドーム(以下ドーム)にはどんな未来が待っているのだろうか……。日本ハムが新球場に移転後の経営に関して札幌市から楽観的とも言われる試算もでていたが、市民が懸念していた通り早くも暗雲が立ち込めている。
【写真】本拠地移転から25年なのに、今でもファンに愛されている球場がこちら
ドームを支えてきた日本ハムが今季から北広島市のエスコンフィールド北海道(以下エスコン)へ移転した。“日本ハムなき”今後の収益の柱として期待されていたのが「新モード」でのコンサート開催だった。しかし、蓋を開けてみると今年の利用が1件も決まっていないことが明らかになった。
「(ドーム側は)新モードには自信を持っており、初年度は最低6件、実績と評判によっては10件超のコンサートが開催可能と踏んでいた。しかし6月末でこの状態なら年内の開催は難しいかもしれない。考えが甘かったとしか言いようがない」(大手広告代理店関係者)
3月から導入された新モードは、ドーム内を暗幕で仕切り2万人以下のコンサートなどのイベントに対応しようというもの。機材の設置などで総事業費は約10億円にのぼると言われる。
「ドームは音響が良くなく、スタンドからの距離もあって見づらい。4~5万人集める全国ドームツアーの1カ所という付加価値があったから、これまで利用していたアーティストもいました。2万人以下の新モードを利用する必然性はない」(音楽業界関係者)
道内には北海きたえーるなど、1~2万規模の箱は他にも存在する。「規模を小さくして使用してもらう」というドーム側の思惑はこれまでのところ、外れてしまったように思える。一方で、皮肉にもドームでの4~5万人規模の通常モード利用は4件決まっているという。
「どこを改善すれば、どういう風に使っていただけるのかということをしっかりやって行く期間なんじゃないか」(札幌市長・秋元克弘氏)
札幌市民は日本ハムの新球場移転が決まって以来、長らくドームの将来を心配していたが、このタイミングでの悲壮感なきコメントが、各方面で心配や怒りを増長させている。