「ドーム側も動いてはいる。サッカーJリーグのコンサドーレとの関係強化、高校野球の秋季大会の誘致、敷地の有効活用など、今までは考えられない努力をしている。しかしプロ野球の影響力には及ばない。広告看板を含め、お金が流出している」(スポーツマーケティング関連会社関係者)

 プロではないが高校野球については、秋季大会の準決勝、決勝の開催地に決定。また、敷地内にスケートボード練習場を設置するなど、多くの市民が利用できるように変化しつつある。しかし日本ハムがもたらした経済効果には到底及ばないのが現実だ。

「ネーミングライツ(施設命名権)売却も進行がない。日本ハム使用時代は場内にびっしりだった広告看板も、サッカーでは映像への映り込みも限られ撤退が相次いでいる。当初想定していた収入を下回っており、約3億円とした年間赤字額が増えるのは確実ではないか」(大手広告代理店関係者)

 2001年に開場したドームは建設から20年以上が経過、老巧化も激しくなってきた。日本ハムというキラーコンテンツがいなくなった今、苦労するのは当然だと言える。

「ビジネス面で折り合いがつかず出ていかれるのは仕方ない。しかしその後の計画性が全くなかった。第三セクター形態なのでドーム単体で立ち行かなければ、存続のためには税金投入しかない。維持費だけでも相当額がかかるが、札幌市民の血税からの負担となる」(在京テレビ局スポーツ関係者)

 過去に大きなスポーツイベントで建設されたスタジアムが無用の長物になっているケースはいくつもある。ただドームの場合、日本ハムという切り札を持っていただけに残念で仕方がない。

「競輪開催や動物園、植物園としての活用、インドアスキー場などで使用するなど、多くの意見が出始めている。やれることを取り入れないと手遅れになる。収支改善が見込めなければ、最終的に解体という話が出てくる可能性もある」(スポーツマーケティング関連会社関係者)

 現状の小手先、付け焼き刃の改革では先は見えている。一刻も早く、抜本的改革を行う必要性に迫られている。

次のページ
札幌ドーム“苦戦”の一方で…