新加入だけでなく既に在籍していた選手との契約も“疑問符”が残るものもある。

 顕著なものは武田翔太との契約だ。2011年のドラフト1位指名を受けて入団した武田は高卒1年目から8勝を挙げると、2015年からは2年連続で2ケタ勝利を挙げるなど順調にエースの階段を上っていた。しかし、近年は成績が低迷。そんな中で2021年オフに将来的なFAで他球団との争奪戦を避けるため、異例の4年契約(年俸は1億5000万円の変動制)を結んだ。決してチームへの貢献度が高くないタイミングで年俸もアップしたことから、「査定が甘くないか」と疑問の声もあった。

 契約後も怪我の影響などもあり、ここまで成績は振るわず。現状から判断すると長期契約の判断は正解だったとは言い難い。

「武田は入団時から結果を残し、一時は侍ジャパンの常連だった。キャンプ地・宮崎市出身(宮崎日大)でもあり大事にしたいのは理解できる。しかし故障の不安がある投手に4年契約の提示は驚きで、資金力あるソフトバンクだから可能だった」(在京球団編成担当者)

「柳田悠岐と2020年からの7年契約を結んだのは、メジャー流出を止め生涯ホークスを約束する意味合いもあった。しかし武田が国内FA権(今年6月に取得)を行使しても、好条件で手を挙げる球団があるとは当時から考えにくかった。信じられない複数年契約だった」(ソフトバンク担当記者)

 また若手育成への先行投資もあまり成果が見られない。2016年には総工費約60億円でHAWKSベースボールパーク筑後を建設。プロ野球初の四軍制導入など、巨費を投じているがレギュラー選手を脅かす選手の台頭が少ない。

「栗原陵矢や柳町達は一軍で試合出場しているが存在感はまだ薄い。野村大樹、佐藤直樹、リチャードらは一軍昇格もままならない。MLBドラフト1位右腕のカーター・スチュワートjr.も先行きが見えない。選手数は多いが育成ができておらず、思ったより戦力が出てこない」(在京球団編成担当者)

 選手総年俸は12球団トップを走っているが、2年連続でリーグ優勝を逃している。他球団が羨むほどのお金をかけた球団経営を行いながらも結果に繋がっていない。

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優勝争いも拭えぬ“モヤモヤ感”