週末には家族で地域のアクティビティも楽しめる(キッチハイク提供)
週末には家族で地域のアクティビティも楽しめる(キッチハイク提供)

■留学先が特別な場所に

「保育園留学」には、過疎部の地域創生の目的もある。

 短期間で入れ替わりに家族が訪れることで、滞在先での支出などを含め、一定の経済効果がある。さらに、留学を通して地域の良さを知り地域の人たちと交流することで、また来たくなる。そして、その先の「住みたい」につながれば……自治体はそんな思いを抱く。

「これまで全くつながりのなかった地域を心の故郷と感じている方もいます。ランドセル姿の成長した写真を留学した園に送るなど、その後の交流が続くこともあるんです。アンケートによると、多くの留学家族がリピートを希望し、特に厚沢部町はリピート希望率97パーセント、移住に興味を持った割合70パーセントという満足度の高さです。実際に移住事例も出ています」(福田さん)

 今後、キッチハイクはさらに提携園を増やし、家族の暮らしの選択肢を広げていくという。福田さんは、24年春に完成予定の新たな取り組みを教えてくれた。

「厚沢部町に保育園留学専用の寮を建てる計画が進んでいます。洗面台を低くするなど、はぜるの先生に監修に入ってもらい、子ども目線での使いやすさを徹底しています。園児たちにも、どんな家に住んでみたいかお絵描きを通してインタビューし、アイデアをもらったんです。子どもが主役の“家”で、留学体験をさらに充実させます」

(AERA dot.編集部・市川綾子)