河野太郎デジタル相がピンチだ。
【なぜ腕組み?】記者からマイナ問題を問われたときの河野デジタル相はコチラ
住民票、年金、保険証、銀行口座紐付けなどで次々と問題が発生。とりわけ保険証の廃止で事実上マイナンバーカードの取得を強制するやり方への不満も相まって、国民の批判が爆発した。岸田文雄内閣の支持率低下の原因だと名指しされ、元々悪かった自民党内の評判もさらに悪化している。
世論調査で「次の首相候補は?」と聞けば、河野氏は、常にトップで2位以下に大差をつけていたが、その人気はどこに行ってしまったのか。このままでは来秋の自民党総裁選への出馬自体が危うくなる事態である。
確かに、河野氏の今回のマイナンバーカード普及促進のやり方には問題があった。一つ一つは挙げないが、もう少し慎重に準備し、現場の声に耳を傾けていればこんなことにはならなかったはずだ。河野氏の売りである実行力、突破力というものが完全に裏目に出た格好だ。当初は強気だった本人も、途中からは反省し、ひたすら「自分の責任」と言って陳謝し、「自分に対して処分が必要」とまで発言した。
だが、冷静に考えてみれば、マイナンバーカードを全国民に普及させるというのは、長い間実現できなかった政府の方針である。河野氏は、それを忠実に実行しただけだ。また、保険証の廃止も河野氏が独断で決めたのではなく、当然のことながら所管の厚労省はもちろん、岸田首相もそれを是としてむしろハッパを掛けていたくらいである。種々の情報の紐付けで問題が発生しているが、その大半は厚労省所管の現場や総務省所管の自治体の現場で起きている。本来、より責任が大きいのは、加藤勝信厚労相や松本剛明総務相だという見方もできる。しかし、この2人は軽く謝って終わり。マスコミはほとんど彼らを批判していない。
そもそも、この問題が明るみに出て以来、ほとんど何もせずに放置してきた岸田首相の責任はどうなのか。それを問う声もあまり広がらない。岸田首相は、内閣支持率に深刻な悪影響が出たのに気付いてから慌てて、マイナンバー情報総点検本部を設置し、河野氏にテレビカメラの前で指示を出す姿を演出したが、もっと早くやっていれば事態がここまで悪化することもなかったかもしれない。