この女性は日中、カウンセラーとして働いており、食事指導もしているという。栄養満点の食事を届けることで、少しでも健康になってほしい。そんな思いで、木曜日は半日かけて2種類の総菜を20人分以上作っている。食材はすべて自腹だ。
「活動に参加してから、ホームレスが怖いという印象は払拭(ふっしょく)されました。実際に話してみると、みんな優しくていい人ばかりですよ。彼らに少しでも何かできればと考えたとき、私にできることといえば健康的な料理を作ることなので」
活動に参加する飲食店勤務の男性(21)は、「代表の濱野くんと清掃ボランティアで出会ったのがきっかけで、誘われるがままに参加しました」という。今では運営メンバーの一人だ。
「この活動をする前、路上生活者をバカにしていたんです。どういう立場かも知らないで、偏見で『汚い。変な人』という印象を勝手に持って、話のネタにもしていました。活動に参加して、彼らは自分たちが思っている何十倍も厳しい生活をしていて、日々生きるのに頑張っていることがわかりました。そんな人たちをバカにしていた自分がなんて幼いんだと恥じました」
この日の参加が初めてだという20代の女子大学生は、愛知県から来たという。普段は薬学部生として勉学に励んでいると話す。
「私も、新聞をみて来ました。同じ学生の濱野さんがこんな素敵な活動をしていると知って、一度お会いしたいと思って。ケガをしたり、病気の人が受診したりしてお薬を渡すというのが、私たちの仕事。そうじゃなくて、そもそも病気になってしまう環境とかに、医療の世界はアプローチできてなくて、そんな課題を将来的に解決できればと感じています」
そうした考えをもとに、この活動に参加しているという。
「困っている人を街中で見かけても、どう声かけていいのかわからない。正直、私一人が声をかけたところで、全員を助けることができないと思ってもいます。ただ、こうやって活動に参加して、活動を通じて話しかけて、自分でできる範囲で支援をしたいです」