原辰徳監督と菊地大稀投手
原辰徳監督と菊地大稀投手
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 阪神が首位を快走する中、ライバル球団の巨人が上昇気流に乗れない。交流戦で巻き返しが期待されたが、借金生活からなかなか抜け出せない状況になっている。

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「投手陣が不安定な事が苦戦の大きな要因です。接戦で救援陣が終盤に崩れるケースが目立つ。守護神・大勢も防御率3点台とピリッとしない。ただ、救援陣の整備はV逸した21年から言われていた課題です。先発、中継ぎ、抑えの分業制が確立されてリリーバーの重要性が高まっている。昨年リーグ連覇を飾ったヤクルトオリックスのように強力な救援陣を擁することが、優勝に不可欠の条件になっている。巨人は戦力を整えるのに、もう少し時間がかかると思います」(民放テレビ関係者)

 ただ、シーズン前から苦戦は予想されていた。昨季は5年ぶりのBクラスとなる4位に低迷。オフはFA補強を封印し、ソフトバンクの戦力構想から外れた松田宣浩を獲得し、広島から無償トレードで長野久義が5年ぶりに復帰した。力を入れたのは助っ人外国人の補強だった。身体能力の高さに定評がある外野手のルイス・ブリンソン、先発要員でタイラー・ビーディ、フォスター・グリフィン、ヨアンデル・メンデス、セットアッパーとして期待がかかったヨアン・ロペスの計5選手を獲得した。外国人選手が日本野球で通用するかは未知数な部分がある。順位予想では巨人をBクラスと占う野球解説者が少なくなかった。

 シーズンに入り、懸念が的中してしまう。大勢につなぐ「8回の男」として期待されたロペスは3月31日の開幕・中日戦(東京ドーム)で救援失敗して逆転負けを喫するなど不安定な投球が続き、4試合登板で0勝1敗、防御率7.71。4月中旬以降はファーム暮らしが続いている。メジャーでは主に中継ぎで投げていたビーディは球団初の新外国人開幕投手に抜擢されたが、5試合登板で0勝4敗、防御率5.47。グリフィンは先発で4勝と、6月3日の日本ハム戦(東京ドーム)で打球処理の際にダイビングキャッチを試みて右腕を痛めて戦列を離れた。

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9度のリーグ優勝、3度の日本一